世界最大の金生産国が、
なぜ輸入?

2017年04月5日

世界一の産金国・中国、それでも金が足りない

金の生産と需要の両面で、今、世界の中心的な存在は間違いなく中国です。

20年前は200トンにも満たなかった生産量は毎年着実に増え続け、2007年には南アフリカを抜いてついに世界一に。2016年の生産量は453.5トンと、2位の豪州(290.5トン)を大きく引き離しています。

これは国策によるところも大きいのですが、どうもそれだけではなさそうです。何と言っても「金」はカネになります。広大な大陸では政府の目も行き届かず、行き過ぎた鉱山開発も行われており、金の採掘のために何と万里の長城に穴をあけた鉱山会社もあったそうです。これには中国政府もビックリ。ちなみに、世界遺産である万里の長城を損傷した場合、最高50万元(約 800万円)の罰金か最長10年の懲役が科されるそうです。

しかし本当にビックリなのは、それだけ採っても国内需要にまったく応えられていないこと。

中国は長い間、金の民間保有を原則禁止していましたが、21世紀になって自由化し、金投資を推進してきました。その甲斐あって、2013年に需要量が1,345トンと、初の1,000トン台を記録、それまで20年以上にわたってトップだったインドを抜いて世界最大の需要国になりました。

2016年の最新データでも中国は金の生産(453.5トン)、需要(913.6トン)共に世界一。ただしその需給ギャップ(需要-生産)は460トンもあり、足りない分は他国から輸入するしかないというわけです。

中国人は本当に金が好き

この背景には、著しい経済成長によって中国国民の可処分所得が増え、金投資にお金が流れるようになったことや、中国人の「金好き」という国民性があります。

なぜ、中国人は金が好きなのか。それは、王朝が変わるたびに通貨が変わってきたため、政権が変わっても価値を失わない金への信頼が厚いという歴史的背景が影響していると言われています。

また、中国政府も国民の金投資を後押ししています。現在9つの銀行に金の輸入を許可しており、日本と同じように個人でも金地金の購入や純金積み立てが可能です。もっと気軽に、もっと多くの中国人が金を買えるようになれば、何と言っても人口13億の国です。中国の金需要はさらに高まる可能性があるでしょう。

人民元の基軸通貨化を目指す中国

中国の金好きは何も“民”だけではありません。中国の中央銀行である中国人民銀行も、金保有高を一貫して増やし続けています。

この背景には、人民元の「基軸通貨化計画」があると言われています。基軸通貨とは、数ある通貨の中でも最も信頼度が厚く、世界中で使われている通貨のこと。現在の基軸通貨は米ドルです。2008年のリーマン・ショックを受け、中国は「一主権国家の通貨である米ドルが世界の基軸通貨であるのはおかしい。主権国家を超えたIMF(国際通貨基金)の特別引出権(SDR)を基軸通貨にすべきである」と新しい基軸通貨構想を提唱しました。その真意は、基軸通貨発行国の座を米国から奪い取り、代わりに中国がその座につくことにあると推測されています。

その計画実行の第一歩が人民元のSDRへの採用です。かつて、人民元の取引は香港の取引でさえ規制していたのですが、新基軸通貨構想の提唱から4カ月後の2009年7月以降、急に自由化を推し進め、国際市場における人民元建てによる取引を拡大させていきました。これも人民元をSDRに組み込ませるための布石だったのです。

ここでSDRについて説明しておきましょう。もともとSDRは、1969年にIMFが加盟国の対外債務の支払いに充てる準備資産を補完する手段として導入した国際準備資産です。2016年3月現在、2041億SDR(約2850億ドル相当)が発行され、加盟国に配分されています。加盟国の国際収支が悪化した際には、その国が自国のSDRを他の加盟国に渡し、その代わりに必要とする外貨を手に入れることができます。このSDRと外貨の交換を為替取引とみなせば、SDRは仮想通貨の一種といえます。なお、SDRの価値は米ドル、ユーロ、円、英ポンド、人民元の5通貨の加重平均で毎日計算され、2017年3月31日現在、1USD=0.737002SDRといった水準となっています。

SDRに採用されるためには、国際通貨となる必要があり、そのための1つの目安となるのが、貿易決済の支払い通貨としてどのくらい使われているか、ということです。中国政府の計画は順調に進み、貿易支払通貨別シェアは2015年に入ると円に次いで世界第5位となり、その存在感を示しました。そして、ついに2016年10月、人民元はSDRに組み込まれたのです。まさに思惑通りというわけです。

次なる目標は世界最大の金保有国になること

ここからは完全に憶測の話になりますが、おそらく中国は今後、SDRではなく人民元を米ドルに代わる基軸通貨として認めさせるよう、世界に働きかけていくでしょう。

まずは、貿易支払通貨別シェアで人民元を1位に引き上げ、米ドルを追い落とすことを目指します。中国主導の新しい国際機関、アジアのインフラ整備を支援する「AIIB(アジアインフラ投資銀行)の仕組みを利用すれば、不可能ではありません。しかし、それだけでは米ドルから基軸通貨の座を奪うことは無理です。というのも、米ドルの強さの背景には8,134トンという世界最大の金準備があるからです。つまり、基軸通貨の座を奪うには世界最大の金保有国になることが必要なのです。ですから、次に中国が狙うのは世界最大の金保有国の座。実際、中国は一貫して金保有量を急増させています。今後も中国の動向から目が離せません。

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