地政学リスクの裏に隠された、真の有事とは?

2017年06月8日

シリア、北朝鮮問題などで高まる地政学リスク

米軍によるシリア攻撃、シリア内戦に伴う難民の大量発生と欧州への移民急増、朝鮮半島情勢の緊迫化、世界各地で相次ぐテロなど、今年は近年まれにみる「地政学リスク」の高まりが指摘されています。

地政学リスクとは、ある特定の地域において政治的・軍事的な緊張が高まり、その影響から世界経済の先行きが不透明になること。地政学リスクが高まると、昔からリスクの高い株式や金融商品が売られ、「有事の金」といわれるように安全性の高い「金」が買われる傾向があると言われています。

近年では2014年の「ウクライナ政変」。ロシア軍がウクライナ領に侵入し、緊張が高まったことを受け、NY金(ドル建て国際価格)が大きく上昇しました。このほか、湾岸戦争(1991年)や米国同時多発テロ(2001年)、イラク戦争(2003年)などでも金市場に資金がシフトしました。

では、地政学リスクが高まる2017年の金相場はどのような動きになっているのでしょうか。

上のチャートは今年2月以降のNY金相場の推移。3月中旬からの上昇が目を引きますが、このきっかけとなったのは地政学リスクではなく、3月14~15日に開催された米FOMCでのFRBによる利上げ決定のニュース。金利が付かない金にとって利上げはマイナス材料のはずですが、材料出尽くしから反発に転じたとの見方が大勢で、つまり相場の下げ材料が出尽くし、もうこれ以上下がらないだろうとの見方から買いが入ったのです。利上げ後に金相場が反発するのは最近よくあるパターンで、直近3回の利上げでは全てそうなっています。

さて有事に話を戻します。4月上旬のシリア空爆や、北朝鮮への米国空母派遣の報道で、NY金は5カ月ぶりの高値を付けたものの、その後はそれほど目立った動きにはなっていません。北朝鮮が度重なるミサイル実験を行い、朝鮮半島情勢が日に日に緊迫しているものの、金市場は地政学リスクに対してあまり反応していないようです。

市場が危機感を抱いているのは米国経済の行く末

むしろ市場の関心は、トランプ米大統領が公約に掲げている大規模な減税やインフラ投資、金融規制緩和といった政策が実現するかどうかに向いています。これまで世界の株式市場は“トランプ相場”といわれるように、トランプ政権の政策期待で上昇が続いてきました。しかし、財源の手当てなど現実的な課題が立ちふさがり、今後の予算編成で縮小を余儀なくされる可能性が指摘されています。じつは市場が危機感を抱いているのは、地政学リスクというよりも米国経済の行く末なのです。

折しも、トランプ米大統領とロシアの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」に関して、米司法省が2017年5月17日に疑惑を捜査する特別検察官の設置を決め、ロバート・モラー元米連邦捜査局(FBI)長官を任命しました。米司法省は政権から独立して疑惑を捜査、起訴する権限を同氏に与えています。これを受け、世界で同時株安が発生し、NY金は上昇基調を強めています。トランプ政権への致命的な打撃となり、政策の実現性に懸念が生じたからです。

もし、政策が縮小されるようなことになれば、政策期待で上がり続けてきた世界の株式市場に大きなインパクトを及ぼすでしょう。今後の米国経済に暗雲が立ち込めるような事態になれば、今度こそ有事の金が注目され、金相場の本格的な上昇を招く可能性もあります。

 ,

この記事が気に入ったらシェアしよう

地政学リスクの裏に隠された、真の有事とは?





金地金・金先物取引などお気軽にご相談ください。
お電話でもどうぞ

動画で学ぶ金投資

金投資について楽しくわかりやすい動画コンテンツです。
大人気GOLD君が大活躍中!是非一度ご覧ください。

  • 第一話 いま話題の金投資って?

  • 第二話 どうして今金が注目されているの?

  • 第三話 金っていくらするの?

動画で学ぶ金投資




  • カテゴリー

  • 人気記事ランキング

    最新の投稿記事

    注目のキーワード