2000年~金価格が上昇した5つの理由

2016年08月24日

約13年半で6倍にも上がった金価格

金価格は2000年を境に、それまでの長期下降トレンドを完全に脱し、上昇トレンドへ大転換しました。国内金先物価格は、1999年9月の上場来安値836円から、2013年2月の上場来高値5,081円まで、約13年半でなんと6倍にも高騰したのです。

なぜ金は、こんなにも急に上がり始めたのでしょうか。

<理由1>
米同時多発テロで「有事の金」が復活

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理由の1つ目は、テロ・戦争リスク(地政学リスク)に対する「有事の金」の復活です。

歴史を振り返ると、金価格は戦争や大インフレ時に上昇していますが、東西冷戦の終結後はそうではありませんでした。東西冷戦とは、第二次世界大戦後の米国を中心とした西側の資本主義国と、ソ連を中心とした東側の社会主義国の対立のこと。1980年代に入ると、東側は急速に崩壊し、1989年に米ソ首脳によって冷戦終結が宣言されました。その後、米国の強い経済を背景に、ドルへの信頼感が高まったことによって「金を保有していなくてもドル建て資産を持っていれば大丈夫」という安心感が広がり、金の人気は下がっていったのです。

ところが、2001年9月11日、あの衝撃的な「米同時多発テロ」が発生。ハイジャックされた旅客機が世界貿易センタービルに突っ込む映像は世界中を震撼させました。この未曾有の大規模テロによってドルへの信頼感が揺らぎ、「有事の金」が再び注目されるようになりました。1990年に起きた湾岸戦争以降、有事でもあまり動きのなかった金の急騰につながったというわけです。

<理由2>
金ETFの登場で金投資をする機関投資家が爆発的に増加

2つ目は、金地金を証券化した「金ETF(金価格連動型上場投資信託)」の登場です。金ETFは、投資された資金で実際に金を購入して保管するため、金価格に大きな影響を及ぼす存在になっています。

金ETFの登場によって、年金基金をはじめとする機関投資家の金投資が容易になりました。さらに、前述したような地政学リスクを背景に、金が機関投資家の資産ポートフォリオの一角を占めるようになっています。下記グラフのように、2003年の販売スタート以来、2012年まで一貫して残高が増えているのはこのためです。

<理由3>
NY原油の高値更新で「インフレヘッジとしての金」に注目

3つ目は、2004年から2008年にかけて起きた原油価格の高騰によって「インフレヘッジとしての金」が注目されたことです。

この間の原油価格高騰は、米国をはじめ、中国やインドなど新興国の石油需要の増大、OPEC(石油輸出国機構)による生産調整、石油先物市場への大量の投資マネー流入などの要因がいくつも重なって起きたものとされています。

原油は物価への影響が大きいといわれています。その原油が高騰したことによって、物価が上昇し、相対的に通貨の価値が目減りするインフレ懸念が台頭し、「インフレヘッジとしての金」が注目されるようになったのです。

そのもの自体に価値を持つ実物資産である金は、伝統的にインフレ対策として用いられてきました。金は通貨の代わりの資産として買われ、通貨の価値が下がると価格が上昇しやすいという特性があります。

また、2005年に金価格が急騰しているのは、著しい経済発展を遂げた中国、インドで一般の人々が爆買いし始めたことも要因として挙げられます。

<理由4>
金融危機拡大で「信用リスクゼロの金」に投資マネーがシフト

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4つ目の理由は、リーマン・ショックに代表される金融危機の拡大です。

2007~8年に起きた米サブプライムローン(信用度の低い人向けの住宅ローン)問題やリーマン・ショックは世界経済や世界の株式市場に衝撃を与えました。

ここで、米サブプライムローン問題とリーマン・ショックについて、ざっと説明しておきましょう。

サブプライムローン問題とは、2007年末から2009年にかけて、米国の金融機関がサブプライムローンを大量に焦げ付かせたことが発覚し、住宅バブル崩壊が加速したことをいいます。問題を大きくしたのは、サブプライムローンを担保にした「証券化商品」がつくられ、格付けの高い商品として世界中の金融機関に販売されていたこと。米国の住宅ローンの焦げ付きが増加するなか、この証券化商品の価格が暴落し、大量に購入していた欧米の大手金融機関の株価も暴落。こうしたなか、2008年9月に米大手金融機関、リーマン・ブラザーズが経営破綻し、そのインパクトの大きさから世界中の株式市場で株価が急落しました。これがリーマン・ショックです。

こうしたサブプライムローン問題をきっかけとした米国発の世界的な金融危機の発生でドルへの不信感が高まり、行き場を失った投資マネーが安全資産である金にシフトし始めたのです。

<理由5>
ドル・ユーロ不安から「無国籍通貨の金」を選択

最後は、2010年のギリシャ・ショック、続く2011年の米国債格下げによるユーロとドルに対する不安の拡大です。

ギリシャ・ショックとは、ギリシャが財政赤字をごまかしていたことが発覚して、ユーロ危機のきっかけとなった世界経済の混乱のこと。ギリシャをはじめ、似たような財政状況にあるとされたポルトガル、アイルランド、イタリア、スペイン(通称PIIGS)の国債が暴落し、こうした国々の国債を大量に保有しているユーロ圏の金融機関も危険視されました。その結果、ユーロが急落し、さらに世界同時株安が起こったのです。

また、米国債の格下げとは、米格付け会社のS&P(スタンダード&プアーズ)が米国の長期信用格付けを最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げたことです。米国債が最上級の格付けを失ったのは史上初。格下げの理由をS&Pは「財政赤字削減計画が米国の債務の安定化には不十分との見方を反映した」と説明しています。これを受けて、同じように世界中の株式市場が大幅に下落しました。

この危機を乗り切るため、FRB(米連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)は超低金利と量的金融緩和政策(QE)を導入しました。しかし、それは通貨価値の希薄化を招く結果となり、ドル建て金価格は2011年9月に史上最高値となる1900ドル台へと急騰したのです。

この時期、基軸通貨ドルの下落が続いたことで、新興国の中央銀行中心にドル偏重の外貨準備政策の見直しが行われ、金の組み入れ比率を上げ始めました。2010年には中央銀行全体では22年ぶりに売り手から買い手に転じ、その後も中央銀行は金の大口買い手として、金の需給に大きな影響を及ぼしています。

ドル建て金価格は史上最高値を付けた後、QEによる米景気の回復とともにドル相場が回復したため、約4年の調整を余儀なくされました。しかし、2015年12月の米利上げ決定で悪材料出尽くしとなり、2016年に入り上昇に転じています。

2016年6月には、英国が国民投票によってEU(欧州連合)からの離脱を決めたことで、世界経済の先行きに対する不透明感が増大し、投資マネーは安全資産の金に向かっています。金のドル建て価格は一時、およそ2年ぶりの高値に。欧州分裂は世界の政治・経済の新たなリスクになると見られ、今後、金価格を大きく押し上げる要因となりそうな気配です。

 

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