プラチナは金より高いのが当たり前?

2016年12月8日

常態化しつつある金とプラチナの“逆転現象”

あなたは金とプラチナどちらが高価だと思いますか?

おそらく多くの人が、「プラチナのほうが高い」というイメージを持っているのではないでしょうか。確かに最高級ジュエリーはプラチナダイヤ、カードの最高ランクはプラチナカードというのが定番です。

実際、過去の価格を調べてみると、2011年位までは、ほぼプラチナ価格が金価格を上回っていました(下記チャート参照)。特に2001~2008年の間は2倍近い値段をつけていたことが分かります。20年以上プラチナが高い時代が続いたわけですから、「プラチナ>金」というイメージが定着したのも無理はありません。

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ところが2011年後半からは、金価格がプラチナ価格を上回る“逆転現象”が度々みられるようになります。特に2015年以降はこれが常態化し、もう2年近くプラチナの方が安い状態が続いています。11月16日の時点では、1gあたり金が4,284円、プラチナが3,286円と、プラチナのほうが1グラム当たり1,000円近くも安く、今ではプラチナの方が安いのが当たり前になっています。

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ではこのような金価格とプラチナ価格の“逆転現象”はなぜ起こったのでしょうか?

プラチナは金よりはるかに希少な貴金属

プラチナ価格低迷の理由の前に、まずはプラチナの需給を簡単に紹介します。

最初に供給面ですが、際立っているのはその希少性。年間の産出量が200トン弱と、金(2015年の新産金生産は3,158トン)のわずか15分の1以下。有史以来、世界中で精錬された金の量が約18.6万トン(2015年末GFMS調べ)なのに対し、プラチナは4,500~5,000トンと言われており、金の40分の1以下しか地上に存在していません。

採れる地域にも特徴があります。世界のプラチナ産出量の第一位は南アフリカでシェアは72%、2位はロシアで同11%、3位はジンバブエで同8%(英ジョンソンマッセイ社の2016年推計値)。このわずか3ヶ国で90%以上を占めています。一方、金の産出国は供給量の多い順に、中国、豪州、ロシア、米国、ペルー、カナダと、世界中に散らばっています。

このようにプラチナは、金よりも極めて希少性が高く貴重な貴金属ですので、本来なら金より価格が高くて当然なのです。

「プラチナ好き」は中国と日本だけ?

次にプラチナ需要についてです。少し意外なのですが、世界のプラチナ需要の60%はじつは産業用、なかでも約40%を自動車触媒が占めています。自動車触媒とは、自動車のエンジンが排出する有害物質をクリーンな空気に浄化させる装置で、実際これがないと車を走らせることができません。ここにプラチナが使用されているのです(プラチナは主にディーゼル車向けに使用)。

ところで日本人からすると、プラチナというと婚約・結婚指輪などのジュエリー製品を連想しませんか?確かに、宝飾品としての需要も全体の30%あるのですが、実はこれほとんどが中国で、次に日本、宝飾品需要はこの2カ国でほぼ独占されている状況です。特に欧米では、プラチナは“価値あるもの”に違いはないですが、それはあくまでも産業用素材としてで、美しさや資産価値を見出す人は一部のようです。

話は横道にそれますが、日本人はなぜ「プラチナ好き」なのでしょうか?これには様々な理由が考えられますが、その一つとして皇室がプラチナを好んで愛用しているからと言われています。特に皇太子明仁親王(今上天皇)と正田美智子様のご成婚の儀で美智子様が身につけていた、プラチナにダイヤモンドが装飾されたティアラを見て、多くの女性がプラチナに憧れを持ち、プラチナの一大ブームとなったそうです。

“素材”としてのプラチナ、“資産”としての金

さて、需要の大半を産業用が占めているプラチナに対し、金は宝飾品と個人投資で全需要の約80%(ETFを除く)を占めています。結論から言うとこのニーズの違いが金とプラチナの「価格逆転」の主な要因になっているのです。

キーワードは「世界景気の下降」です。プラチナ価格は景気動向、特に中国、欧州、日本の景気に需要が大きく左右されます。

現在、中国をはじめとする新興国の経済成長が鈍化し、世界景気全体も低迷を余儀なくされているのはご存知の通り。当然、景気動向に比較的敏感とされる自動車の生産活動にもブレーキがかかります。加えて“世界一のプラチナ好き”中国の景気低迷は宝飾品としての需要にも直接響きます。世界景気が低迷する中では、今後のプラチナ需要の落ち込みが当然懸念され、それが価格下落の一要因となっているのです。

一方、世界の景気動向は金価格にも影響を与えます。ただし投資需要が大きなウェイトを占める金の場合、世界経済が低迷したり金融不安が起きたりすると、「安全資産」として買われる傾向があり、景気の低迷と需要減が直結しません。むしろ需要が増えることも往々にしてあります。

希少性だけでは価値は測れず、ニーズの違う金と白金では、違う動きをして当然です。現在の環境では、プラチナは金より安いのが“当たり前”なのかもしれません。

もちろん、新興国や世界景気の見通しに明るさが戻ってくれば、プラチナ価格は上昇に転じてくるでしょう。その際は、再び金価格を超えてくる可能性は十分あります。投資の観点から見た場合、プラチナの特徴の1つはダイナミックに上下する値動きです。値動きが比較的安定している金に比べ、利益チャンスという点ではプラチナに軍配が上がります。

最後にまだ当分先の話かもしれませんが、次世代カーとして期待されている電気自動車には、触媒が必要ありません。将来、世の中の車の多くが電気自動車にとって代わると、プラチナの需要に大打撃を与えるという指摘があります。一方、もう一つの次世代カー候補である燃料電池自動車は、逆にプラチナの使用量が増えるそうです。これからどんなクルマが主流になるのか目が離せません。

 

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