金地金を売却すると消費税が受け取れる
消費税率が10%に引き上げられる2019年10月1日が迫ってきました。この時期になると、クルマや家電製品、ブランド品などを「上がる前に買っておこう」という、駆け込み購入が話題となりますが、金地金も例外ではありません。消費税率は導入時も含めてこれまで3回引き上げられましたが、いずれも金地金の“駆け込み需要”が発生しました。
◯1989年4月の消費税導入(税率3%)
◯1997年4月の5%への引き上げ
◯2014年4月の8%への引き上げ
さて、金地金は購入するときは消費税を支払いますが、売却したときは販売店から消費税を受け取ることができます。ここでもし、消費税が8%の時に購入し、10%の時に売却したとしたら、8%の消費税を支払い、10%の消費税を受け取ることになります。ちなみに、消費税の課税対象となるのは法人および個人事業主(納付免税枠1,000万円)ですから、個人の場合は受け取った消費税を税務署に納める義務はありません。なので、この2%は“もらい得”になります。
実際、2014年4月に5%から8%へ引き上げられたときには、3月末に160kg近くの金地金を購入し、4月になってから売却して利益を上げたお客様がいらっしゃいました。
もし100kg買っていたら
消費増税分はいくらになる?
さて、その「消費増税分」はどの位になるのでしょうか。シミュレーションしてみましょう。
仮に、消費税率が8%のときに金1kg=520万円で100kg購入し、消費税率が10%に引き上げられた後、仮に同じ1kg=520万円で売却したとします。すると、以下のように売却益がゼロでも消費税の差額分が利益となる計算になります。
◯購入金額:1kg=520万円×100kg + 4,160万円(消費税8%)=5億6,160万円
◯売却金額:1kg=520万円×100kg + 5,200万円(消費税10%)=5億7,200万円
◯利益:売却金額5億7,200万円-購入金額5億6,160万円=1,040万円
仮に買った値段より、価格が安くなっていたとしても、消費税の差額分の範囲内(この場合1kg当り10.4万円まで)なら損はしないということになります。ただし、金地金の売値と買値にはスプレッド(売買手数料に相当するもの)があるので注意が必要です(第一商品の場合1kg当り5.4~5.5万円)。
増税直前は、駆け込み需要で買えなくなるかも!?
購入後に金の価格が下がっても消費税の差額分で賄えるとは言っても、このような価格変動リスク(反対に価格が上がればその分利益は多くなりますが)は、なるべく小さく抑えたいものです。そのためには、購入から売却までの期間をなるべく短くする、今回で言えば、9月30日(月)に購入し、10月1日(火)に売却するのが理想です。ただ皆さん考えることは同じですから、9月30日の店頭は金地金を購入したいという人で大変混雑する可能性があるので注意が必要です。
実際、当社(第一商品)本店では消費税が8%になる直前の2014年3月31日に金地金を求めるお客様が数多く来店され、10人以上のお客様が購入できませんでした。
金地金を購入するには、株のように口座を開設する必要はありませんが、法律によって本人確認が義務づけられているため、その手続きに一定の時間を要します。さらに、購入可能な時間(8:45~15:05)が決められているため、それをオーバーしてしまうと購入できなくなってしまいます。もし9月30日の購入を考えているなら、事前に本人確認の手続きを済ませておき、あらかじめ購入代金を振り込んでおくのがお勧めです。また、“駆け込み需要”による一時的な金価格上昇も予想されるため、早めに購入しておくのも1つの選択肢と言えそうです。
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