金本位制とは?その歴史を
わかりやすく解説

2019年10月29日

金本位制はイギリスから世界に広がった

金本位制とは、金(gold)を通貨価値の基準とし、自国の通貨と金を一定比率で交換することを国が保証するという制度です。国はいつでも金との交換に応じられるように、発行した通貨と同額の金を中央銀行に保管しておく必要があります。

1816年、この金本位制を世界で初めて法律に基づいて採用したのがイギリスです。交換比率は「金1オンス(31.1035g)=約3.17ポンド」でした。金本位制は、産業革命によって飛躍的な経済発展を遂げた同国の貿易拡大とともに他国にも広がり、国際通貨制度として確立されました。

そもそもイギリスはなぜ、この制度を採用したのでしょうか。

当時、イギリスは産業革命によって大量生産した商品を世界中の国々に売りたかったのですが、他国の通貨価値に不安を持っていました。そこで世界共通の価値を持つ金と通貨の交換を国が保証すればその国と安心して取引できると考え、イギリスはこの金本位制を国際通貨制度として世界に普及させたかったのです。

これに対して他国は、魅力的な商品を持つイギリスと貿易をするために、イギリスにならって金本位制を導入するようになります。導入すれば、金の裏付けによってその国の通貨の信用力が高まり、貿易を行うことができたからです。

日本も1897年に金本位制を導入し、当時の交換比率は「1円=金0.75g」でした。

戦争によって金本位制の継続が困難に

このイギリスを中心とする金本位制は、1914年までおよそ100年間続きました。停止の原因となったのは第一次世界大戦(1914-1918年)です。戦争によって膨らんだ対外債務の支払いのために金(gold)が必要となったため、通貨との兌換(引き換えること)をストップせざるを得ませんでした。そこで各国とも金本位制を中断し、通貨の発行量を通貨当局(中央銀行)が調整する「管理通貨制度」に移行したのです。

日本も1931年12月に金本位制から離脱しました。それに伴い、券面(紙幣)に記載されていた「金貨引換文言」が消され、「日本銀行兌換券」は「日本銀行券」となりました。

金本位制を採用していた当時の拾円紙幣には「此券引換に金貨拾圓相渡可申候」という金貨引換文言が印刷されていました。これは「この10円紙幣を10円金貨と引き換えられます(10円金貨と同じ価値があります)」という意味です。

政治・経済の中心がイギリスから米国に移り、
「金ドル本位制」へ

その後、第二次世界大戦(1939-1945年)の終わりに近づいた1944年7月、戦後の復興に向けて貿易を促進するための新しい国際通貨制度が作られることになりました。そこで決められたのが、金と米ドルとの交換比率を決め、米国が米ドルと金の交換を保証する「金ドル本位制」です。

主要各国の代表が米国ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズに集まって話し合いが行われたため、「ブレトン・ウッズ体制」とも呼ばれています。

これまでの金本位制と異なるのは、米ドルと金の交換比率を固定した上で、それを基準に米ドルと他国通貨の交換比率を固定するという点です。つまり、米ドルを介した金本位制になったわけです。

当時の米ドルと金の交換比率は1オンス=35ドルで、この米ドルの価値を基準として各国の為替相場が固定化されていました。当時の円は1ドル=360円。これを「固定相場」といいます。この固定相場を維持するため、各国には対米ドル相場の変動幅を1%以内に抑えるように為替介入(中央銀行が為替取引に参加し、相場を安定化すること)することが義務付けられていました。

政治・経済の中心はイギリスから米国に移り、数ある通貨の中でも米ドルが最も信頼度が高く、世界中の貿易の決済に使われる「基軸通貨」になったのです。

米国が米ドルと金の交換を保証できなくなり、
金本位制は終焉

しかし、1971年8月、米国のニクソン大統領が「米ドルと金の交換停止」を柱とする経済政策を発表しました。これが世界経済や為替相場に大きな衝撃を与えたことから、「ニクソン・ショック」と呼ばれています。

米国はなぜ、米ドルと金の交換を停止したのでしょうか。

それは、財政・貿易赤字の拡大によって金の準備量をはるかに超える大量の米ドルが海外に流出してしまったため、米国はもはや米ドルと金の交換を保証できなくなったからです。

これによって金本位制は終焉し、金(gold)は通貨としての役目を終えました。その後、各国は固定相場の維持を図ろうとしましたが、長続きせず、1973年に主要通貨は変動相場制に移行しました。変動相場制はジャマイカのキングストンで1976年1月に開催されたIMF(国際通貨基金)の会議で承認され、金の廃貨(金の公定価格の廃止)も決まりました。金が通貨として価値を持つ時代は、この時終わったのです。

世界各国の中央銀行は引き続き「金」を保有

ただし、各国の中央銀行は準備資産の保全を目的として引き続き「金」を保有しています。その総保有量は2019年7月末現在、約3万4,407トンにも上っています。金の地上在庫は19万3,900トン(2018年末、GFMS調べ)ですから、その2割近くを占めています。準備資産とは、中央銀行が国際収支の赤字を決済したり為替市場に介入したりするために用意している資産のことです。

さらに、ロシアやポーランド、中国などの新興国は2018年頃から金を活発に購入しています。これは米ドルの代替資産として金を購入し、米ドルの割合が高い準備資産を分散するという狙いがあります。

2019年7月現在、最も金を購入しているのはロシアで106.16トン(総保有量2,219.2トン)、続いてポーランド99.55トン(同228.2トン)、中国83.98トン(同1,936.5トン)、トルコ67.22トン(同320.7トン)となっています。下表をみると、これらの新興国がここにきて購入量を増やしていることがわかりますね。こうした新興国の購入が金高騰の要因の一つになっています。

ちなみに、中央銀行の金保有量トップ3は、1位が米国で8,133.5トン、2位はドイツで3,366.8トン、3位はイタリアで2,451.8トン(2019年7月現在)。米国の保有量は世界の中央銀行の保有量の23.6%を占めています。米国がダントツ1位の理由は前述した「金ドル本位制」の下、世界中から金を買い集めたからです。

 

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