日銀「金融政策決定会合」とは?

2019年12月17日

「物価の安定」を目的に日本の金融政策を決める場

日銀(日本銀行)の「金融政策決定会合」は、日本の金融政策(金融面から行う経済政策)を決める場です。

金融政策の目的は「物価の安定」を図ることにあります。物価の安定とは、家計(個人)や企業などが物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動を行える状況をいいます。

物価が上がりすぎると国民の生活が苦しくなる一方、モノやサービスが売れなくなったり製造コストが上がったりして企業も困ります。逆に下がりすぎても、企業は売り上げが減って儲からなくなり、社員の給料も下がるため、企業も国民も困ります。継続的な物価の安定は、経済や国民生活の大切な基盤です。

そこで金融政策決定会合では、現状の金融経済情勢について検討し、金融政策の運用方針である「金融市場調節方針」を決定しています。金融市場調節とは、金利水準やマネーサプライ(世の中に出回っているお金の総額)をコントロールすることを目的に、資金の供給や吸収を行って市場全体の資金量を調整することです。

金融市場調節の主な手段には、国債やETFなどを買い入れる「資金供給オペレーション」と、日銀が保有している国債の買戻条件付き売却などの「資金吸収オペレーション」があります。

政策委員会が年8回開催

金融政策決定会合は、日銀の最高意思決定機関である「政策委員会」が開催しています。政策委員会のメンバーは、総裁、副総裁(2人)、審議委員(6人)。これら9人のメンバーは、いずれも国会の衆議院および参議院の同意を得て、内閣が任命します。任期は5年で、再任されることもあります。9人が1票ずつ議決権を持ち、多数決で金融政策の方針を決定しています。

金融政策の運営は、政府などから国民の支持を得やすい運営を求める圧力を防ぐため、日本銀行法で「独立性」の確保が図られています。ただし、政府の代表者も必要に応じて金融政策決定会合に出席し、意見を述べたり議案を提出したり、議決の次回会合までの延期を求めたりすることは認められています。ただし議決権はありません。

会合は、年8回(1月・3月・4月・6月・7月・9月・10月・12月)、毎回2日間開催されます。日銀では、金融政策の透明性を強化するため、会合終了後、直ちに決定内容を公表しているほか、会合における「主な意見」を取りまとめ、原則として会合の6営業日後に公表しています。また、政策委員の経済・物価見通しを「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」として年4回公表しています。

2019年11月現在、総裁を務めているのは、元財務官僚の黒田東彦氏。任期満了を待たずに辞任した白川方明前総裁に代わって2013年3月に就任し、2013年4月と2018年4月に再任されました。現在の任期は2018年4月9日~2023年4月8日です。

金融市場調節方針の変貌

金融政策決定会合で、これまでどのような「金融市場調節方針」が採用されてきたのかを見てみましょう。

黒田総裁の就任以降は、「物価安定の目標(消費者物価の前年比上昇率2%)」の実現に向けて、以下のように金融緩和政策を続けています。

●2013年4月 量的・質的金融緩和の導入

金融市場調節の主たる操作目標が「無担保コールレート」から「マネタリーベース」に変更された。金融市場調節方針は「マネタリーベースが、年間◯兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」といったように定められた。併せて、資産買い入れ方針が定められ、例えば長期国債の買い入れについては「保有残高が年間約◯兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う」などとされたほか、CP、社債、ETF、J-REITなどの買い入れも継続された。

●2016年1月 マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入

金融市場調節方針や資産買い入れ方針が維持されたほか、政策金利として日本銀行当座預金のうち「政策金利残高」に▲0.1%のマイナス金利を適用することが決定された。

●2016年9月 長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入

長期金利の操作目標について「10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう長期国債の買い入れを行う。買入額については概ね現状程度の買い入れペース(保有残高の増加額年間80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する」などと定められた。このほか、CP、社債、ETF、J-REITについても、引き続き資産買い入れ方針が定められている。

日銀による大量のETF購入は
市場の規律を損なう可能性も

上記のように、日銀では2013年4月に量的・質的金融緩和を導入して以降、「物価安定の目標」の実現に向けて金融緩和政策を続けてきました。しかし、6年超が経った今も目標達成には至っていません。

こうした中、(1)2%物価安定目標の妥当性、(2)金融緩和政策による低金利環境が地域銀行の経営に及ぼす影響、(3)ETF(株価指数連動型の上場投資信託)の買い入れが市場に与える影響、(4)金融緩和政策を終了し正常化に向かうときの出口戦略――などが今後の課題として挙げられています。

(参考:『日本銀行の金融政策をめぐる国会審議と今後の課題』財政金融委員会調査室)

なかでも、日銀による大量のETF購入は、価格形成への影響が懸念されています。「OECD(経済協力開発機構)経済審査報告書」(2019年4月)においても、日本銀行はETF市場の4分の3を保有し、間接的に日本の上場企業の40%において10位以内の主要株主となっていること、中央銀行によるETFの買入が銘柄によっては株価の過大評価につながるかもしれないこと、企業が単に主要指数に組み込まれているという理由だけで評価されることになるため、市場の規律を損ないつつあることなどの問題点が指摘されています。

なお、日銀では2018年7月以降、「日経225平均株価連動型ETF」から、より対象銘柄が広い「東証株価指数TOPIX連動型FTF」に買い入れの重点を移行しています。

日銀のように国債や株式を大量に購入している中央銀行は過去に例がありません。これが将来どのような結果を招くのかは誰にもわからないのかもしれません。

▼参考

『日本銀行の金融政策をめぐる国会審議と今後の課題』

『OECD(経済協力開発機構)経済審査報告書』(2019年4月)

 

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