2020年の金相場展望

2020年01月17日

2019年6月以降、大きく上昇した金相場

英国のEU離脱(1月末)、東京オリンピック・パラリンピック(7月24日~9月6日)、ドバイ万博(10月20日開幕)、米国大統領選挙(11月3日)などが予定されている2020年。果たして金価格はどうなるのでしょうか。今回は、主な変動要因を基にその動向を探ってみたいと思います。

その前に、ここでもう一度、2019年の金相場を振り返ってみましょう。下チャートを見ると、金価格は6月以降大きく値上がりしています。東京金先限の2019年最終値は5,309円で、年初(1月4日=4,537円)に比べておよそ17%上昇しました。主な上昇要因としては、米中貿易摩擦の長期化や米国の利下げ、世界的な景気減速・金融緩和、中東の地政学リスク、新興国中央銀行による金購入などが挙げられるでしょう。

米政策金利は20年に1回程度の利下げ予想が大勢

2020年も引き続き値上がりは期待できるのでしょうか。

金価格の主な変動要因としては、(1)需給バランス、(2)米ドルの価値、(3)米国の金利動向、(4)地政学リスク、(5)インフレ、(6)各国中央銀行の売買動向――などが挙げられます。金価格を予想する際は、どの要因が金価格に大きな影響を及ぼすかを見極めることが大切です。

2020年特に影響を及ぼしそうな要因は、(1)米国の景気(米ドルの価値、米国の金利動向)、(2)地政学リスク、(4)各国中央銀行の売買動向――など。では、それぞれが金価格にどのような影響を及ぼすのかを見ていきます。

まずは、「米国の景気」について。一般に、米国の景気後退に伴う米ドル安、金利低下は金価格の上昇要因、逆に米国の景気拡大に伴う米ドル高、金利上昇は金価格の下降要因となります。

そもそも金は米ドル建て価格が世界標準とされているため、米ドル高になると金価格が下がる、米ドル安になると金価格が上がる傾向があります。また、利子や配当を生まない金は、金利上昇局面では魅力が低下して価格が下がる、逆に金利低下局面では魅力が相対的に高まって価格が上がる傾向があります。

2020年、米国の景気はどうなるのでしょうか。

IMF(国際通貨基金)の世界経済見通し(19年10月15日発表)によると、世界経済の成長率(実質GDP成長率)予測は19年が3.0%、20年は3.4%と、リーマン・ショックが起きた2008-9年の金融危機以降では最も低い伸び率となっています。

米国の経済成長率予測は19年が2.4%、20年は2.1%。中国の経済成長率予測も19年が6.1%、20年は5.8%と低下が見込まれるなど、グローバル経済は減速期を迎えていると指摘されています。

懸念となっている米中貿易交渉は19年12月中旬に第1段階の合意に達し、18年から続いていた追加関税措置の応酬はやや緩和されました。ただ、合意内容や今後の交渉に対するスタンスに認識の相違が見られるとの指摘もあります。米国が実施している対中関税措置は一部引き下げられたものの、引き続き米中貿易摩擦は景気回復のブレーキとなる可能性があります。

金利に関しては、景気減速などを背景に、米連邦準備理事会(FRB)が19年に3回の利下げを実施しました。19年12月10~11日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利のFF(フェデラルファンド)レートを「1.50~1.75%」に据え置くことを全会一致で決定し、「来年の米大統領選挙まで緩やかな経済成長が続き、金利は現行水準にとどまる可能性が大」との見方を示唆しています。ただし、マーケットでは2020年も景気減速が見込まれることから、1回程度の利下げ予想が大勢となっています。

こうした景気減速や金利低下は米ドル安の要因になります。したがって、「米国の景気」に関しては、金価格の上昇要因となる可能性が高いといえるでしょう。

また、19年後半に利上げを予定していたECB(欧州中央銀行)も、世界的な景気減速の影響を受け、9月にマイナス金利の深堀り(ECBへの預金金利を-0.5%へ引き下げ)と量的緩和の再開(11月から月200億ユーロ)を決め、金融緩和へと方向転換しています。このため、2020年は日米欧の同時追加緩和も想定されます。世界的な金融緩和は金価格上昇の追い風になります。

英国EU離脱は世界景気のリスクに

「地政学リスク」に関しては、前述した米中貿易摩擦のほか、英国EU(欧州連合)離脱、米大統領選挙、中東情勢、香港デモなどが挙げられます。こうした地政学リスクが高まると、リスク回避の動きが強まって株などから安全資産の金へと資金シフトが起こり、金価格が上昇しやすくなります。

英国EU(欧州連合)離脱については、19年12月12日に行われた下院総選挙で与党・保守党が過半数を獲得し、EUからの離脱関連法案を単独で可決できることになりました。1月中に関連法案が可決すれば、20年末までの移行期間を経て完全離脱が実現します。ただし、移行期間中に英国とEUとの間で新たな自由貿易協定(FTA)をまとめる必要があり、この調整がつかないと「合意なき離脱」になるリスクもあります。

いずれにしても、マーケットでは「世界各国とのFTAを再締結する必要があり、これに相当の時間がかかる」「経済の中心だった金融セクターの衰退は免れない」「優秀な人材の流出が加速する」などと、英国経済にとってマイナス要因となることが指摘されています。英国の経済規模(GDP)は世界第5位ですから、世界景気を減速させるリスクの一つに挙げられるでしょう。

米大統領選挙については、一般に現職大統領が有利と言われています。仮にトランプ大統領の再選になると、現在の政策スタンスが維持され、現在のような株高基調が維持される可能性が高いと考えられます。一方、政権奪取を目指す民主党では、バーニー・サンダース上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員が党内で支持を集めていますが、19年12月現在、候補者を絞り込めていない状況です。もしエリザベス・ウォーレン上院議員が勝利すれば、富裕税導入や金融規制強化などの政策を掲げているため、株式市場においてはマイナス要因となる一方、金価格の上昇要因になる可能性もあります。

新興国中銀による金購入が続く見通し

「各国中央銀行の売買動向」に関しては、引き続き新興国中央銀行による金買いが続く可能性が高いと見られています。

近年、米国と対立を深める新興国が米ドルの代替資産として金を購入し、米ドルの割合が高い準備資産の分散を図る動きが加速しています。2019年もロシアや中国、トルコなどが大量に金を購入。そのため、中央銀行の2019年の年間購入量は1971年のニクソンショック以降で最高だった2018年の656.3トンを超え、700トン台に達しています。

2020年も新興国の中央銀行による金購入が2019年と同じようなペースで続くと見られています。中央銀行の買いは金相場へのインパクトが大きいため、金価格を押し上げる大きな要因となりそうです。

景気循環から見ると米国株急落の可能性も!

もう一つ、金価格の上昇要因になると考えられるのが、景気循環による米国株の反転です。

米国の株式相場は、前回の景気後退局面(2007年12月~2009年6月)後から現在まで10年以上、上昇トレンドが続いています。景気循環から見ると、そろそろ株価急落が起きてもおかしくありません。「山高ければ谷深し」(上げ幅が大きいほど、その後の下げ幅も大きい)という相場の格言もあるように、株価の急落リスクにも備えておくべきです。

このように2020年に金価格に大きな影響を及ぼしそうな要因を見てみると、引き続き金価格の下値は底堅い状況といえるでしょう。短期的な調整はあるにしても、米国や世界の景気後退や金融緩和などが想定以上に進んだり地政学リスクが表面化したりした場合には、さらなる上昇の可能性もありそうです。

 

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